ニームは乾燥した雨の少ない土地でも育ちます。年間平均気温が22〜23℃程度で、降水量は400〜1200ミリ程度の場所が最も適した場所といわれています。
乾燥に強い性質を活かして、FAO(世界食糧農業機関)では1970年代、当時、乾燥化が進んでいたニジェール共和国(サハラ砂漠の南側)にニームを植林するプロジェクトを行いました。現地は乾燥化と強風により表土が浚われてしまい、農業がしにくい環境になりつつありました。そうした環境にニームを植林したことで、再び農業ができるまでに回復し、砂漠化を抑制しました。
また、日本のNGO地球再緑化機構は、インド西部・デカン高原の半乾燥地においてワゴリ岩砂漠再緑化プロジェクトに取り組んでいます。同機構は、ワゴリ砂漠にある現地のHUD学園とアーユルヴェーダ大学と連携してプロジェクトを進めており、学生たちに植樹の仕方などの授業を行うとともに、薬草の森の復活を目指しています。その一環として、ニームなどの乾燥に強い樹種から植えはじめ、多くの樹種の植樹に至っています。
さらに、砂漠の国・サウジアラビアでは、イスラム教の聖地メッカに多くのニームが植えられました。今では、ニームの木陰が多くの巡礼者の休息場所となっています。
大きな地球環境問題 【砂漠化】 砂漠化、すなわち乾燥、半乾燥、乾性半湿潤地域における土壌の生物生産力の喪失は、人類が直面する最大級の脅威です。砂漠化は世界的な問題となっており、100カ国以上に住む世界人口の5分の1が被害を受けています。しかも、その影響は極めて深刻です。砂漠化の原因のひとつである貧困が、砂漠化によってさらに深刻化するという悪循環を生んでいるからです。砂漠化は他の問題と相まって、貧困にあえぐ農村部から都市部への移住を余儀なくすることが多い一方で、これを受け入れる都市自体もしばしば、このような移住者に十分な住居や雇用を確保できる状況にはありません。私たちが行動を起こさず、このままの状況が続けば、サハラ以南の砂漠化地帯から北アフリカやヨーロッパへ流出する人々の数は、2020年までに6,000万人に達するおそれがあります。全世界で見れば、実に1億3,500万人が移住を強いられるかもしれないのです。
気候的に適地であれば、ニームはわずか7〜10年程度で直径30cm位の大木に成長します。高さは15〜20m程度にもなり、樹木全体にこんもりとした葉が生い茂ります。3年目頃から花を着け、5年目頃からは実を着けます。花は白くて小さくて鈴なりに咲き、実は大きさも形もオリーブの実に似ています。
成長すると大きな木陰を作り出し、街路樹や庇陰樹にも利用されます。10年で大木に成長し大きな木陰を作るほど葉が生い茂るため、二酸化炭素の吸着力も優れているのではないかと期待されており、各国の大学などで研究が進められております。